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馬高式火焔土器

研究室でのお話が面白かったので、もうひとつ縄文時代中期に作られた『馬高式火焔土器』を紹介します。

 

 

 

「縄文土器」ときいて一般的に思い起こされる、まさにThe 縄文土器がこの馬高式土器です。この土器は新潟県長岡市の馬高遺跡で発見され、形が燃え上がる炎を表しているように見えることから、火焔土器という名前がついたと言われています。

この土器が盛んに作られていた、縄文時代中期は気候も温暖で人口間爆発的に増えた時期でした。そのせいもあって(?)か、この土器はどの時期よりも一番丹念に作られ、形状も派手であったようです。

 

火焔土器独特のその形は、湧き上がる生命力や躍動感を表していると言われています。他の土器には見られない立体的な作りや細かい模様を見れば分かるとは思いますが、どの模様を見ても何一つ左右対称なものはありません。様々な縄文土器にも言えることですが、縄文土器は左右非対称のものがとても多くみられます。

 

火焔土器にはいくつか種類があります。

主なものは『火焔土器』と『火焔型土器』です。この2つの違いは何なのでしょうか? その区別の仕方は学者によって異なるようですが、基本的に馬高遺跡から発掘されたものは『火焔土器』と呼ばれ、その他の遺跡から発掘された火焔土器とよく似た特徴を持つ土器を『火焔型土器』と呼んでいます。

 

火焔土器全体の特徴としては

 

①縄文土器なのに縄文を使用せず、模様は全て隆線と沈線で描かれていること。

②口縁部には鶏のとさかのような飾り(鶏冠状把手)とそれを結ぶように作られている、ノコギリの刃のような縁飾り(鋸歯状突起)

 

があります。また、鶏冠状把手と縁の間に袋状突起がついているため、火焔土器は立体的に見えるのです。詳しくは下記を見て下さい。

 

 

この一風変わった土器が縄文時代、どのように使われていたのかはまだ不明です。しかし、見るからに火焔土器が特別なものであったことは明らかだと思います。

当時の人々は何を考え、何を願ってこの土器を完成させたのでしょうか……気になります!!