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レオナルド・ダ・ヴィンチ 受胎告知

きっと何千人、何万人の方々がもうすでにこの絵についての同じような感想や、同じ知識をブログで書いていると思いますが、そんなことは気にしない、気にしない。

 

 

 

受胎告知、という作品自体は他にもたくさんありますが、ダヴィンチの描いたこの作品が一番有名なのではないでしょうか。

以前、東京国立博物館で特別展をやっていた時、私も父に連れられて見に行ったことがあります。異常に長い行列を経て、人の波の先に現れた、美しい一枚の絵。展示の仕方の上手さもあったとは思いますが、小さい絵画なのにもかかわらず、強いその存在感に圧倒されたことを覚えています。

 

 

ダヴィンチの書いた『受胎告知』には、他の作品とは違った部分がいくつか見られます。

まず、天使ガブリエルの持つ白百合の花。これは聖母マリアの純潔性を表していると言われています。処女であるマリアがイエスを身籠ったことに対する祝福の意味でしょうか。しかし、ダヴィンチの受胎告知に描かれている白百合には雄しべがついています。雄しべを描くことは、マリアの処女性の否定につながる(下記のリンクを参照)ので、マリアの処女性と潔白を表す白百合に雄しべが付けられることは、他の作品では絶対に見られないことです。

また、天使ガブリエルのマリアに対する目つきの鋭さ。そのマリアを見つめる目線は、2人の奥に描かれている台(のようなもの)により一層強調されているように感じられ、まるで天使ガブリエルが聖母マリアの純血を疑っているようにも見えます。

このことについての詳しい資料は見つからなかったのですが、絶対のものである神の意思によってマリアのもとへと遣わされた天使ガブリエルがなぜ、マリアを疑うような目つきをしているのでしょうか。

 

ここに書いたことは私の思い込みでしかないとは思いますが、もしこの作品に「処女解任なんてありえねーよ」というダヴィンチの思いが込められているとしたら……笑っちゃう。